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校長メッセージblog 好文木

2016.10.26

教育の市場化のなかで

img_0512 藤田まことさんが主人公の秋山小兵衛を演じテレビドラマ化された池波正太郎の時代小説「剣客商売」の始まりのナレーションに、「いやまさしく昨今、剣術は商売なり」というフレーズがありました。江戸時代も半ばを過ぎると、戦はないので剣術で身を立てることが出来なくなりました。本来は武士の魂ともいえる剣を、糊口をしのぐために使わざるを得なくなったその自嘲が込められています。昨今は、少子化により子供が減る中で、2018年問題を抱える大学を筆頭に、教育界も売り手市場となり、学生・生徒募集活動が熾烈になっており、「いやまさに昨今、教育は商売なり」と感じることが多くなりました。
 市場経済では、需給のバランスが崩れ供給が過剰となると価格は下がります。教育機関では、入学しやすくなると言うことです。私たちの時代は、大学は約450校で一大学一学部一回入試でしたが、今では約780校に増え、指定校推薦・AO入試・公募推薦入試そして一般入試におけるA日程、B日程など複数受験が可能です。私立大学が増え、進学率も上昇、そして生徒数は減少という状況下で、大学の4割以上が定員割れ、3割以上が赤字なのですから、何とかして学生を集めようと必死になるのは当然です。その結果、筆記試験のない入試や複数回受験により大学は入りやすくなり、基礎学力や基礎的生活習慣が身についていない学生が増え、入学後のリメディアル教育が必要となりました。「そんなこと大学で教える内容?」と驚くほどレベルの低い教育内容の大学も出現してきました。
 PISAの国際学力調査の結果や世界の大学ランキングでの日本の大学の存在感の薄さに危機感を募らせた政府は、さらに競争原理を導入し教育の質の向上をめざし、組織改革と教育内容の改革を加速しています。グローバル人材育成を掲げた高大接続の教育改革はその要です。
 少し前、日経新聞に流行に流される教育に警鐘を鳴らす記事が載っていました。以前はお洒落な制服に変えることが流行り、いまは一人一台タブレットを合言葉にICT教育真っ盛りです。そのなかで、ある公立高校が、「うちの学校ではICT教育はできないが、黒板と紙の教材でしっかり教育してゆく」と宣言したことに、心の中で喝采を送ったと筆者が記していました。高大接続の教育改革の柱としてのアクティブ・ラーニングとICT教育が大流行です。コンサルやメーカーによる売り込みも盛んです。
 今、オープンスクールでお菓子や飲み物をサービスしている学校は多いと思います。本校もプログラム終了後、レストランで簡単なお菓子とお茶やジュースを用意しています。以前は参加される保護者は少なかったのですが、今では生徒の約7割の保護者がお越しになります。ご両親揃っていらっしゃるケースも増えてきました。お菓子とお茶でホッと一息ついてアンケート記入をしてからお帰りになる保護者が多くなりました。また、学校名を入れたペンなどのグッズを配るのも一般的となっています。オープンスクールにもっと沢山の中学生に来てもらうために他校に倣い、有名店のお菓子やグッズを誘因にしたり、楽しいゲーム感覚のイベントを企画したりしたらどうかという話をしたことがありました。「モノで釣ったり、日常の教育活動でやってもいないことをして人を集めるのは邪道ですよ」と管理職から言われ、「なるほど、企業の販促ではないのだから、教育機関としての矩を超えてはいけないな」と諦めました。しかし、学校の内容を一人でも多くの中学生や保護者に知ってもらうためには、一人でも多くの中学生や保護者に来てもらわねばならず、手段に拘っている場合ではないと言う考え方が教育機関から出てくるのも、市場経済化が進んでいる昨今の状況を観ると当然の成り行きかもしれません。
 私は生徒に対して丁寧に接することがコミュニケーションを成立させる基本だと考えていますが、丁寧な対応とお客様扱いは異なります。教わる者と教える者の区別はきちんとすべきです。学校が市場経済から超然としていることが出来なくなりましたが、学校があまりにもサービス業化し過ぎては、将来を担う若手教員に誤ったメッセージを伝えることになります。そして何より生徒のためになりません。このことを常に頭に置いたうえで、論語と算盤のバランスをとることが必要です。秋山小兵衛、「剣術は商売なり」といいつつも、なかなかどうして剣客としての矜持をもっているところが、「剣客商売」の魅力です。好文学園も教育機関としての矜持を以て、市場経済の荒波を乗り越えねばなりません。

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