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校長メッセージblog 好文木

2017.12.01

高大接続教育改革に思う

IMG_0789 一連の高大接続の教育改革における大学入学者選抜改革において、受験に際し高校から大学に提出する調査書の見直しが行われます。①各教科・科目及び総合的な学習の時間の学習における特徴等②行動の特徴、特技等③部活動、ボランティア活動、留学・海外経験等④取得資格・検定等⑤表彰・顕彰等の記録⑥その他の項目の現行の欄を拡充し、現状よりさらに具体的な内容が記載されるようにするというものです。また、教員のみではなく生徒自身が諸活動を記録するポータルサイトも準備されます。データーの管理や整理がかなり大変になると思います。
 文部科学省によれば、その趣旨は、大学入学者選抜において「学力の3要素」すなわち、①基礎的な知識・技能②思考力・判断力・表現力③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度を多面的・総合的に評価するため、高等学校段階における多面的な評価への改善の取り組みを踏まえて、一人一人が積み上げてきた大学入学前の学習や多様な活動に関する評価の充実を図り、併せてこれらの評価がその後の大学教育に十分生かされるようにするためとしています。そして、一般選抜入試を含むすべての入試においてこの調査書と学力検査の合計で合否判定をするというものです。調査書の内容の評価方法と得点割合は各大学が決めます。調査書を参考にするのではなく評価対象とし得点化すということです。
 AO入試は学力考査の一発試験と異なり、本来は長期間の実践と実績が必要であり、学力試験で合格するより反って難しいともいえるのですが、一部の難関大学を除くと、実態は単なる学生の早期獲得の手段になっており、簡単な面接や小論文のみのところが多くなっています。今回考案されている調査書は、本来あるべき姿のAO入試においての活用には適していると思います。また、AO入試や推薦入試にも何らかの学力考査を課す方針には賛成です。しかし、「学力の3要素」の内、①と②は測定可能で点数化が出来ますが、③は調査書の内容からの点数化は難しいのではないでしょうか。
 部活動の実績や表彰等はその生徒の成果として評価することは妥当だと思いますが、それが必ずしも主体性や多様性、協働性を表すものとは言えない場合もあります。実際、生徒は様々です。部活だけは一生懸命やり成績も上げているが勉強には身が入らない生徒もいます。また勉強は熱心だが、部活はしたくないという生徒もいます。また、各教科における取組態度の評価も評価者の主観的にならざるを得ずそれらをどう客観的に評価して点数化するのでしょうか。百歩譲って、主体性の優劣を付けられるようにそれぞれの評価項目での観点を細かく決めたとして、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」のある人が大学に行くにふさわしくない人はふさわしくないと言い切れるものなのでしょうか。一般入試においては合否判断はシンプルかつ公平なものが良く、内容の改良は必要としても、調査書は参考に留め学力試験で判定すべきだと考えます。
 日経新聞11月23日「未来学」欄において、関西学院大学の寺沢拓敬準教授(言語社会学)は小学校からの英語教育に関し、「世間のイメージほど英語習得の必要性は高くない」と述べています。就労者を対象にした調査で、「英語が必要」と感じる人は4割に上りますが、実際仕事で英語を「毎日使う」、「時々使う」は計1割前後との結果になっています。私もこれが本当の世間のイメージだと思います。英語4技能が無ければ生き残れない職業は少ないと思います。この記事ではシンガポール、スウェーデン、ドイツ、フランスなど18か国の英語力保持者の割合の調査結果から、エリート層の英語力は他国に劣るが、街中の案内表示を理解する程度の英語力は多くの人が持っているというのが日本の国際的な位置づけのようだと論じています。一般レベルでいえば各国とも大差ないということです。
 優秀な大学生はもちろんいますが、全体として大学生の学力低下は疑いの余地はありません。規制緩和で大学や学部の新設が相次ぎ需給のバランスが崩れ、学力テストなしで入学する大学生が増えているのですから。高等教育の無償化論も出ていますが、本来なら大学で学ぶための充分な基礎学力を備えていない生徒までが簡単に大学に入れるという現状は変えなければなりません。そうでなければ、高校生の学習意欲も向上しません。
 高校の授業改善として、アクティブ・ラーニングが推奨されています。この授業形態が一定の成果を上げるためには、生徒にある程度の知識の定着があることが前提条件になります。クラスには理解度の違う生徒が混在しています。アクティブ・ラーニングが理解を深める生徒もいれば、今までの講義形式の方が良い生徒もいます。講義型の授業に一部取り入れることは刺激にはなると思いますが、毎回の授業をアクティブ・ラーニングで行うとすれば、単元は進まず授業時間の大幅な拡大が必要となります。全ての生徒にアクティブ・ラーニングが効果的だとはいえません。
 私は大学入試における記述式問題の導入については賛成です。英語4技能評価への転換と高校でのアクティブ・ラーニングの導入については、その一般化には無理があると思います。「グローバル人材育成」が叫ばれていますが、全ての生徒にグローバル人材となることを求める必要はありませんし、求めてもなれるものではないと思います。
 文科省や審議会が出す教育改革案は常に正論であると思います。かつての「ゆとり教育」も、その趣旨は正論であったと思います。であるがゆえに、上手くゆかないのだと思うのです。実際の生徒や学校は生身の人間でありその集まりです。合理的には出来ていないからです。経済学における合理的経済人モデルが現実の経済現象を説明しきれないのと同様に、合理的ではないモノを一律に合理的基準に当てはめようとすれば齟齬をきたすのは当然ではないかと思うのです。

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